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プレキャスト屋になってコンクリートと付き合う

小さな頃から祖父の家に帰れば小さな工場があった。

いや、生まれた時の家はそこだったから、生まれた家に工場があったということだろう。

祖父の家は何となく粉っぽかった。

そりゃコンクリートを前で作ってればそうなるか。

工場をやめてもそのままのわけだから、庭はコンクリートを作っていた跡があり、砂利だかコンクリートガラだかがあった。

まあ、なんとなくコンクリート屋になるんだろうとは思ってはいた。

しかし時代は高度成長期からバブル。コンクリートへの批判が強い時期だった。実際その頃はかなり儲かっていたんだろうと思う。

感受性が高いというか、何も考えず影響の受けやすい10代。コンクリートって悪者?という気持ちになっていた。

20代中頃にコンクリート業に足を突っ込んでもやはりそこはかなり気になる部分だった。

跡をとるのだから(結局最終的にはそうならなかったわけだが)コンクリートが好きにならないといけないのではないかと思うのだが、なかなかマスコミからの刷り込みは剥がれない。

それでも毎日コンクリートに触れていくと、まあ、それなりに愛着は湧く。

あらゆるコンクリート構造物を見ながら「あれは違う素材でできるのではないか?」と考えた。

いろいろ考えるが、コンクリートはよくできている。ピッタリのところにピッタリと使われている。

まあ、プロが一生懸命選んだ素材なんだから当たり前のことではあるが。

コンクリートのすごいところは

どんな形にもなる(おおよそ)

長持ちする

頑丈

じゃないかな、と思う。

鉄や木ではなしえないことだ。

しかもそこら辺の材料でできる。

私のいる大分県はセメントの原料である石灰石がよく採れ、出荷量は日本一のはず。

石灰石に鉄やなんだかんだを入れて、ロータリーキルンという円筒の化け物のようなものに入れ、1000度以上に熱するとドロドロになる。一度中を見たがマグマのようだった。

これを急冷するとびっくりした熱いコンクリートはバラバラに粉砕される。たしかもっと細かくするために、粉砕機でも砕いている、と物の本にあったような気がするが定かではない。暇な方は調べて、もしくはセメントのプロは教えて欲しい。

私はコンクリート屋でセメント屋ではないのだ。

そして、どこかそこら辺の山の岩を砕いて砂利と砂を作り先ほど作ったセメントと混ぜるわけである。

よく考えたらそれに水もいる。

セメントは粉末ノリだから水と混ぜないといけない。

ここまでは殆ど国内で調達できる材料。こんな工業製品は他にない。

これらを混ぜると生コンクリートの出来上がり。

英語で言うとフレッシュコンクリートで美味しそうであり、早く使わないといけないというイメージが湧く。

コンクリートは練った瞬間から固まり始めるので一刻も早く使った方がいい。

生コンクリートのままではどうしようもないので、何か形を作る必要がある。

ドロドロでデロデロなのでそれ単体でどうこうできるものではない。

なにか型に入れて固めるわけである。

お菓子作りに似ている。粉物というのもかなり近い。

私の友人はセメント商社をやりながらケーキ屋さんも経営している。粉物のプロだと密かに尊敬している。

それはさておき、好きな形の枠に入れるわけだがコンクリートは強いが弱い。

矛盾している。

引っ張りに弱く、圧縮に強い、と言われるが素人の方にはまずピンとこないと思う。

消しゴムのようなイメージで考えて欲しい。

子供の頃消しゴムを引っ張ってちぎっていたことがあると思う。小学生の力でもできる。これは引っ張り。

ところがこれを指でまっすぐ押す潰そうとしても、簡単にはいかない。これが圧縮。

コンクリートが簡単に折れては困る時が多い。そんな時はなかにいい具合に引っ張られそうなところに鉄筋を入れる。これで鉄筋コンクリートの出来上がり。

英語では Reinforced Concrete (RC)で英語の翻訳などでは強化コンクリートと訳されている。

私などは少し混乱し、なにか超高強度のコンクリートなのかと思ってしまうが、おそらくただの鉄筋コンクリートだと思う。

まあそんなこんなで好きな形で、強度もしっかりあるコンクリートが出来上がるわけである。

わたしがコンクリートはすごいなあ、と思うわけが、わかってもらえるでしょうか?

プレキャスト屋はコンクリートを使いどんな形にするか、悩みながら形を決め打っていくわけで、そこがなかなか面白いところです。

型枠を作ったら動かさないといけないし、ラインも稼働させないといけません。

ま、なかなか大変なんですよ。

プレキャスト屋。

けど、いろんな形があまり制約なくできるのは面白いところかな。

今日はこの辺で。

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